9月30日、名古屋市会 日台議員連盟主催の「台湾交流史セミナー」に講師としてお招きいただきました。
名古屋市と台中市が昨年「観光分野におけるパートナー都市協定」を締結したことに伴い、もっと台湾や台中のことを勉強しようという趣旨です。
参加者は廣澤一郎 副市長をはじめ、市会議員や名古屋市職員の皆様です。
全2回のシリーズで、1回目の様子はこちら。
講演内容の紹介
今回の講演は大正が名古屋市職員や市会議員なので、行政・政治関係者が興味を持ちそうな内容を取り上げました。
普段のように台湾好きや学生・生徒向けの内容とは異なるので手探りで準備しました💦
当日使用したスライドやお話しした内容の一部を紹介します。
天下雑誌の調査結果
9月初めに台湾の天下雑誌が行った首長の市政満足度調査。台中市の盧秀燕市長は21人中18位と低めに位置しています。しかし満足度は59.7%で、日本の感覚だと満足度は高めですね。
ちなみにこの調査は高雄市長リコール運動中なので、高雄市は調査対象外になっています。
台中市政府が選ぶ観光地10選
台中市政府觀光旅遊局が選ぶホットな観光地ベスト10はこちら。この中から都市交流のネタになりそうな場所(太字)を紹介します。
- 台中公園
- 高美濕地
- 梨山風景區
- 大甲鎮瀾宮
- 台中國家歌劇院
- 草悟道
- 東豐自行車綠廊和后豐鐵馬道
- 逢甲夜市
- 谷關溫泉風景區
- 霧峰林家
台中公園
尾張藩のお抱え宮大工・伊藤平左衛門の一族である伊藤満作が建立した台中神社は台中公園内にありました。戦後取り壊されてしまいましたが、倒れた鳥居が現在も残っています。
高美湿地
「台湾のウユニ塩湖」として有名な高美湿地。絶滅危惧種や台湾固有種の動植物も生息しています。名古屋にもにたような場所として藤前干潟があります。藤前干潟が「名古屋のウユニ塩湖」になる日が来るかも😁
梨山風景区
風光明媚でハイキングや温泉を楽しめる梨山ですが、お茶の生産地としても有名です。名古屋で梨山産台湾茶のイベントをするのも面白そう。
大甲鎮瀾宮
熱田神宮がある名古屋と大甲鎮瀾宮がある台中。宗教文化をテーマにした交流も面白そうですね。
台中市政府の観光政策の一例
台中市政府観光旅行局は中期計画でサイクリングロードの整備を表明しています。
世界的な自転車メーカー「ジャイアント(GIANT:捷安特)」は台中のメーカーです。
ジャイアントはウナギの養殖をしていた劉金標氏が、アメリカや日本の自転車メーカーの下請けを始めたことから発展したメーカーです。「移動手段としての自転車はすでに完成されているので、移動手段から文化へレベルアップする必要がある」という考えの元、公共事業にも協力的です。
日本では瀬戸内海のしまなみ海道や琵琶湖一周サイクリングルートの整備を、ジャイアントに協力してもらっています。
名古屋でも一緒に何かできないかな。オリンピック競技で日本発祥のケイリン(ギャンブルじゃなくてスポーツの自転車レースの方)のスタジアムとか。名前はもちろんGIANT’s Stadium(ジャイアンツ・スタジアム)。中日ドラゴンズのお膝元でジャイアンツを名乗る暴挙(妄想100%)
台中市政府主催のイベント
台中市政府が2020年の5大イベントとしているのはこちら。
- 中部台湾ランタンフェスティバル(中臺灣元宵燈會)
- 大安砂の彫刻音楽祭(大安沙雕音樂季)
- 台中温泉フェスティバル(臺中好湯溫泉季)
- 台中自転車フェスティバル(臺中自行車嘉年華)
- 台中ショッピングフェスティバル(臺中購物節)
台湾映画KANOと名古屋
台湾で大ヒットした映画「KANO」は台湾好きには有名です。実話を元にした物語ですが、実は名古屋とも関係があるお話しです。
嘉義農林高校の甲子園決勝の対戦相手は名古屋の中京商業高校、現在の中京大中京高校です。そして中京大中京にとっても重要な一戦なのです。
中京大中京は未だに破られていない夏の甲子園3連覇を達成しています。嘉義農林と当たった1931年の甲子園は、この3連覇の最初の優勝だったのです。
そして映画KANOの決勝戦のシーンで嘉義農林の呉明捷と言葉を交わした中京のエースピッチャーは、中京大中京で神様のように大切にされている吉田正男投手です。中京大中京の甲子園3連覇は吉田正男の力が大きいのです。
中京大中京の甲子園3連覇最後の年、吉田正男はすべての試合で登板しました。しかも1回戦は朝鮮代表の善隣商業を相手にノーヒットノーランを達成。2回戦の大阪代表の浪華商業戦では守備中にボールが顔に当たり大けがをしました。しかし吉田正男は医務室で左まぶたを3針縫いそのままマウンドへ戻り、なんと勝利しました。負傷しながら登板した準々決勝の大正高校(山陽地方代表)戦でも完封勝利しました。
これだけでもすごいストーリーですが、極めつけは準決勝の明石高校(兵庫代表)の一戦です。中京大中京も明石も相手を0点に抑えた投手戦。得点表にはゼロがならび、試合は延長に次ぐ延長。ついに中京大中京が1点を入れて勝利したのは何と延長25回。この25回を負傷した吉田正男が1人で投げきったのです。その時のスコアボードの写真がこちら。
もうすごいというか、想像を絶する試合ですね。
この試合で吉田正男が投げた球数は336球。そして翌日の決勝戦も登板したのです。
決勝戦で吉田正男は「肩が言うことをきかず、ボールの行方はボールに聞いてくれ」という気持ちだったそうですが、何と許した失点は1点のみ。
驚異的な活躍を見せてついたあだ名は「不死身の吉田正男」。まさにその名にふさわしい活躍です。
ちなみにこの時の甲子園には嘉義農林も出場しています。残念ながら2回戦で敗退しましたが、実に85年後に映画KANOで描かれた甲子園決勝の再戦が実現しました。
台中市の観光名所
宮原眼科
あまり知られていませんが、宮原眼科の宮原武熊医師は熊本県出身で、名大医学部の前身・愛知医学校で医学を学びました。
眼科医としてだけでなく、台中州評議委員や東亜共栄協会を設立するなど、政治にも関わっていました。
l霧峰林家の林献堂、台湾人初の女性医師・蔡阿信、女性の権利運動家・北村兼子との交友もちょっと面白い話があります。
台灣味噌釀造文化館
ちょっとマニアックですが、台中には味噌に特化した文化館があります。
名古屋以外で「味噌コーラ」を見たのはここが初めてです。台湾にあるとは思いもしなかったので、驚きもひとしおです。