【花蓮地震】義援金1250万円を台湾副総統に渡しました

2018年3月22日、筆者が主宰する日台若手交流会が、陳建仁 台湾副総統に花蓮地震の義援金1250万円を渡しました。今回は募金活動の本質的な意義、花蓮県知事に関する黒い噂と台湾人の反応、寄附者の想いと呼びかけ人の使命、副総統との謁見についてお話しします。

目次

寄付した人々の想いとは

こちらで紹介していますが、義援金はお金を送るのではなく「台湾の被災者のために何か力になりたい」という日本人の想いを送ることが本質です。

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今回の募金活動では800人以上の方から1250万円にも及ぶ「想い」が寄せられました。筆者に届いた寄附者の声をいくつかご紹介します。

  • 寄附者A
    年金生活なので少ししか送れませんが、台湾の被災者のために使ってください
  • 寄附者B
    台湾出身の社員がいます。日本で頑張っている彼の姿をいつも見ており、何かあれば力になってあげたいと思っていました。今がその時です。
  • 寄附者C
    娘が小学校で募金をしたいと言い出しました。理由を聞くと「東日本大震災は家が揺れて怖かった。台湾の子ども達も怖い思いをしただろうから、励ましてあげるために何かしたい」と答えました。担任の先生に相談すると、快く了解していただき募金活動が実現しました。
    娘が他人を思いやる心を持っていることとともに、考えを行動に移せるまでに成長したことは、親として本当に嬉しいです。

声を発することなく心の内に熱い想いを秘めた人もいたでしょう。もちろん募金に否定的な考えを持つ人もいるでしょう。しかし実際に募金した人々の気持ちを確実に台湾の被災者に届けるのが、呼びかけ人である筆者に課せられた使命なのです。

台湾のどこに義援金を届けるか?

通常であれば被災地の自治体へ渡せば確実に被災者の元に届きます。しかし花蓮県知事・傅崐萁(無党籍)には義援金の使い方や対中国政策でマイナスイメージがあり、花蓮県知事に対する不信感を抱く台湾人も多く、送金先として疑問視する声があったのです。一例を挙げると「台湾と中国は同じ文化、同じ民族である。義援金を使って中国人旅行者の家族に慰問金を渡す。義援金は公金ではないため法的根拠無しで使える(自由時報2月8日)」と発言しています。

また花蓮は観光業が主な産業ですが、それを考慮しても観光・石材業に渡る義援金の割合が多すぎるため怪しまれています。三立新聞によると、傅崐萁の政治献金の42%が観光・石材業からで、「自身の選挙対策に義援金を使っているのではないか」との声も上がっています。傅崐萁の言動から台湾では義援金の返金運動が起こり、花蓮県政府はこれに応じることを決めました。筆者の元にも「傅崐萁には渡さないで」という台湾人からの声が届きました。

このような状況の中で、日本からの義援金をどう扱うべきか? 筆者は募金の呼びかけ人として、大切な寄附者の気持ちを預かる者として、ずっとこの頭が痛くなる問題に向き合っていました。

中には「義援金を送るべきではない。返金手続きをするべきだ!」という意見もありました。しかしそれが本当に日台友好に繋がるのでしょうか?

日本で集めた義援金を返金するということは、「純粋に台湾を心配する日本人の想いを叩き返している」と受け止められかねません。これほど悲しいことはないでしょう。

そこで筆者は花蓮県ではなく、すべての台湾人を代表する蔡英文台湾総統へ手渡しすることにしました。

幸運の女神が微笑んだ!

しかし総統府は募金窓口を用意していないため、簡単には受け付けてくれません。まして一国の元首に会って手渡しするなんてほぼ不可能です。しかし幸運がありました。ちょうど送金する時期に、全日本台湾連合会(全台連)が総統に謁見するとの情報が入ったのです。親しい友人を通して趙中正 全台連会長に相談したところ、謁見に筆者の同席を快諾いただきました。

筆者(左)と陳建仁 副総統(右)

謁見前日に総統府から「蔡英文総統は3月3日に逝去した母親の法事のため出席出来ない。陳建仁 副総統が代理を務める」と連絡がありました。残念ながら総統には会えなかったですが、冒頭の写真の通り陳建仁 副総統に義援金を手渡ししました。

この会合で全台連は東京オリンピックを「台湾」名義で出場することや、福島近辺5県の農産品輸入規制の解除などを要請しました。副総統からは日台EPAやTPP加入のために在日台僑の協力を要請しました。

副總統盼日僑發揮影響力 深化臺日合作交流

「日台EPA締結へ協力を」=陳副総統が在日台湾人に呼び掛け

皆さんありがとう!

この度の募金活動は台湾の被災者を想う日本人寄附者と、その思いを確実に現地に届けようと努力してくれた台湾人(全台連)の協力があったからこそ成り立ったのです。寄附者の方々、協力してくれた方々、台湾に関心を寄せてくれたすべての人々に、心より感謝申し上げます。

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