【新南向政策】観光統計に見る蔡英文の成果

12月12日、台湾交通部観光局が今年の訪台旅行者数が1000万人を突破したと発表した。昨年より1日遅い達成だが、昨年が閏年だったことを考えると同程度のペースといえる。

2016年5月20日の蔡英文総統就任を機に「中国人観光客が減り、観光業が深刻な打撃を受ける」という主張があった。それは事実だろうか?

グラフ「訪台旅行者数(中国人)」を見ると、馬英九が中国人旅行者を受け入れて以来、右肩上がりに増えていった。しかし2016年5月20日に蔡英文が総統に就任すると、中国(香港、マカオ以外)が急降下した。これは中国政府が独立志向の強い蔡英文政権に対する嫌がらせとして、台湾旅行を控えるように働きかけた結果と言われている。しかしよく見ると香港、マカオは上昇傾向に変わりない。これは中国政府が香港、マカオ市民をコントロールできないことを示唆している。また蔡英文就任直後は急降下した中国(香港、マカオ以外)の旅行者は2017年から上昇の兆しも見られる。

そうはいっても中国人旅行者が減っているのは事実なので、旅行業は大変ではないか、と考えるかも知れない。ここで「訪台旅行者数(日本、韓国、東南アジア)」を見ていただきたい。日本、韓国、東南アジアは台湾の政権にかかわらず、概ね上昇傾向だ。


東アジア(日本、中国、韓国)と東南アジア諸国の旅行者数を加えた訪台旅行者数は、馬英九政権時代の2015年以降横ばいである。
中国人旅行者が減っても日本、韓国、東南アジアが増えた分でカバーできているのだ。打撃を受けたという旅行会社は中国人だけを相手にしていたのだろう。

特に注目したいのは東南アジアの観光客が増えたことだ。これは蔡英文が馬英九の中国重視政策を改めるために展開している新南向政策の成果と言える。
新南向政策は東南アジア諸国との関係を重視する政策であり、その一環として東南アジア諸国民のビザ条件を緩和した。具体的にはタイ、ブルネイ、フィリピンの各国民はノービザで訪台できるようにした。その結果、タイ人観光客は2015年の12.4万人から2016年には19.6万人と、約57%増加した。今年は9月時点ですでに20万人を越えている。
訪台旅行者数の統計から導き出される新南向政策の成果は、台湾が過度に中国を意識せずとも経済的に成り立つことを意味している。

しかし油断してはならない。2017年1~10月の訪台旅行者数の累計を見ると、日本人は前年同期と比べて約7500人減っているのだ。減少幅は僅かだが、日本人訪台旅行者の増加傾向にブレーキがかかっていると言える。
台湾を応援するために、日本人もどんどん台湾へ行こうではないか。

 

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