高雄一日農夫ツアー Part 1

読者の中には台湾の魅力に取り憑かれ、何度も旅行した人もいるでしょう。そんな方にちょっとディープな台湾旅を紹介します。もちろん、まだ台湾を訪れたことがない方にも参考になります。

高雄と言えば工業都市のイメージがあるかも知れませんが、近年ではそのイメージを塗り替えるような活動も盛んに行われています。

高雄市政府農業局は一般の方が農村を訪れる「一日農夫体験ツアー」を開催しています。筆者は2018年1月3日に開催されたツアーを同行取材しました。

ツアーの旅程は次の通りです。

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旅程を見て分かるとおり、このツアーは旬を迎える農産品の収穫体験や簡単なDIYができます。南国フルーツの収穫体験は日本ではなかなか体験できません。さらに嬉しい事に日本人がツアーに参加しても、高雄市農業局のサポートがあるので言葉や習慣の問題はありません。実際、筆者はツアー中に日本語しか使わなかったです。

会場は高雄市内から車で一時間ほどの高雄市旗山区です。日本を出発するときは雪がちらついていましたが、1月の高雄は温暖で過ごしやすく、長袖を着るだけでコートはいりません。

最初に訪れたのは旗山糖廠です。ここは日本統治時代に高砂製糖旗尾製糖所として操業開始し、2003年まで製糖を続けていました。工場閉鎖後は若手芸術家のアトリエや青少年向けの農村体験施設になりました。日本統治時代に出来た製糖工場が、今では新しい芸術文化を創る場になっているとはなんとも意義深く感じます。ちなみに高砂製糖は1910年に塩水港精糖会社と合併し、今では塩水港精糖株式会社として東証一部に上場しています。
旗山糖廠

最初のプログラムである「伝統的な焼飴作り」は製糖工場ならではのものです。この焼飴のルーツは工場で働く工員が、あまった砂糖をお菓子にしたのが始まりです。

水に溶かした黒砂糖、赤砂糖を熱し、水分が少なくなった頃に冷やしながらベーキングパウダー(膨らし粉)を入れます。すると見る見るうちに生地が膨らんできます。完全に冷え固まったら完成です。

サクサクの食感は飴と言うよりクッキーに近いです。また黒砂糖と赤砂糖のコクと風味が他に形容しがたい美味しさです。

黒砂糖は不純物を除去したサトウキビの茎の絞り汁を煮詰めて固めて作ります。赤砂糖はサトウキビの他に粗糖を入れて煮詰めて出来たもので、独特な風味とよい舌触りがあります。

「砂糖の塊なので体に悪いのでは?」という心配は不要です。黒砂糖は上白糖と異なり、糖の吸収を抑えるフェニルグルコシドという成分が含まれています。そのため血糖値の上昇は穏やかで太りにくく、コレステロールの上昇も抑えられます。また腸内の善玉菌を増やすため美肌効果もあります。さらに中医学では黒砂糖は体を温め、血流を活発にするとされています。冷え性の方にはもってこいですね。

実によく考えられたプログラムです。単に閉鎖した製糖工場を開放するのではなく、次世代の芸術を生み出す場として、また工員の思い出の味を未来へ繋げる場になってます。さらに地元の産品が健康に役立つことを知らせて、農産品のPRにもなっています。このような高雄市の資産活用方法をを日本でも見習いたいものです。

(つづく)

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